本と在る日々

本とお酒、2〜3人の親友が居れば、それで人生だいたい満足な、妻子持ちサラリーマンが書く読書感想ブログ。

本は好きに読む『読書案内』

読書案内―世界文学 (岩波文庫)

読書案内―世界文学 (岩波文庫)

本は人それぞれ好き勝手に読めばよい。 というのが私の持論である。読書が好きで、貴方の生活の一部になっていたなら、それは立派な読書人といえよう。

私自身の読書スタイル、寝転がりながら、電車の中、お風呂に浸かりながら、寝る前の枕元、果ては酔い覚ましに、、様々である。 書店にも頻繁に足を運ぶのが望ましい。特に大型書店ほど、選書や出版社のフェアも活発で、本棚の新陳代謝が良く通う価値がある。Amazonでは立ち読み(出来ても、最初の何ページかまで)が出来ないので、やはり中身を自分で確認してから購入した方が良い。また書評や参考文献から、芋づる式に欲しい本が増えていくのも、楽しい反面、自分の財布と積ん読との相談になる。

巷では速読や効率性を上げる為の方法が書かれた本が、飽きもせず常に平積みされ、喧伝されている。参考程度には良いかもしれないが、鵜呑みするのは危険である。すぐ役に立つ方法は、すぐに陳腐化してしまう。自分であれこれ試して、自分に合った方法を、自分で見つける作業こそ楽しいのであって、借り物のハウツーでは長続きしない。

濫発される書籍の中で、これは一読に値する(と私が感じた)、本読みの達人による幾つかの読書論に関する書物を、気の赴くままに紹介していきたい。各界の専門家や古典文学者が、どのように古今東西の書物を地肉化していったか、そこに興味と関心がある。

冒頭の主張と矛盾しているが、私も他人の読み方や推薦図書を参考にしたいのである。

W.S.モーム著『読書案内』は、全体で100頁足らずしかないが、主にヨーロッパとロシアの古典文学を中心に、著者と書物を簡単に紹介している。何より頁数に対してカバーしている名作文学の量が多い。但し、モーム自身の好み(=選書)が偏っており、アジア圏やアメリカの文学作品はほとんど紹介されていない。それでも、超一流の作家が寄稿したこの読書ガイドは、現代の我々にとっても大いに参考になる。「読書というのは楽しみのために読むべし」という主張が特に際立。モームからすれば、面白くなければ読書の意味がないのだ。通読のために、斜め読みも推奨している。モーム著『世界の十大小説(上・下)』も、併せて一読されたい。彼自身の作品である『月と6ペンス』『人間の絆』等は、また機会があれば紹介したい。